20200519

少し前にペストを読んだ。話題になっていたし、100分de名著の再放送を見ておもしろそうだなと思ったので。

物語の序盤は、私の周りで実際に起こったこと、今起こっていることが書かれていて、すごいと思ったし、感動した。

中盤以降は、私にとっては未来のことだし、100分de名著によると戦争を重ねてあるらしいしで、よくわからない部分もあったが、全体的にはおもしろかったし興味深かった。

私の心に残った、というかひっかかったのは、犯罪者コタール。

コタールは、ペストのおかげで世の中が混乱して自分が逮捕されなくなったので、ペストに感謝しているしずっとこの状態が続けばいいと思っている。ペストが流行してからの方が前よりも楽しそうにしている。

コタールは私だ。そう思って、そわそわ、どきどきしてしまった。

私も、コロナで仕事が休みになって、世の中が緊張し始めて、非日常な感じにわくわくした。今ではコロナの影響で生まれたこの平穏な日常を楽しんでいるし、ずっと続けばいいと思っている。

私は犯罪者なのか。違うはずだが、絶対に違うとは言い切れないかもしれない。

毎日、亡くなる人がいて、死ぬほど苦しんでいる人がいて、その人を救うために過酷な環境で戦っている人がいて、他にもしんどい思いをしている人がたくさんいる。らしい。そんな状況を、直接ではないが、回り回って楽しんでいる。そういう意味では私も悪人だ。そんな風に思えて、落ち着かなかった。

コタールはペストのおかげで生きづらさが解消された。私も生きづらいと感じていたのかな?と考えて、たぶんそうなんだろうと気がついた。他人が自分のことを厳しい目で見ているような、攻撃されているような気がして勝手にイライラしてしまう。社交的に振る舞おうと思ったらできるけど長続きしなくて疲れてしまう。諸々嫌になって自己嫌悪。非日常な、緊急事態なら、ダメな自分も許されると感じるのかもしれない。これまでの言動がチャラになるというか、見逃してもらえるような。

物語の最後、ペストが終息していく中でコタールは銃の乱射事件を起こす。コタールはどうするべきだったのか?罪を償って更生する、が正解かな。私はどうする。懺悔して改めよう。

私に必要なのは懺悔なんだ。自分の悪い部分を認めて、告白して、反省して、改める。今までずっとそれができなかった。周りが悪いと思うことで自分を守ろうとしていた。けど結果的にそれが自分を苦しめていた。いい歳して何言ってんだって感じだけど、気付けてよかった。忘れずにいたい。

ペストを読んだのは確かGWより前で、この文章は途中まで書いて放置していた感想に、今日加筆して編集したものである。

読んでから少し時間が経っているので、今もう一度ペストを読んだらまた違うことを感じるかもしれないが、コタールに自分を重ねたことを忘れてしまわないようにアップしておく。

#おうち時間