20200529

せっかく時間があるので、読んだことのある本を読み返している。

今読んでいるのは太宰治津軽」。これは、太宰が大人になってから、津軽地方を初めて旅したときの旅行記。太宰は津軽地方の出身だが、この旅に出るまで、自分が住んでいた場所とかよく行った場所以外のことは全然知らなかったそうだ。まぁそういうもんだよね。私も子どもの頃住んでいた地域について、自分の行動範囲内のことしか知らない。大人になってから知ったこととか気付いたこととかたくさんある。住んでいるときには見えなかったものが、離れてみると見えたりすることもあるしね。

津軽」を初めて読んだのは、大学生のとき。卒業旅行と称して、一人で東北と北海道を10日間ほどかけて旅行する計画を立てていたときに、この本のことを知って、面白そうだし、勉強がてら読んでみるかと思って古本屋で購入した。

特に印象に残っているのは津軽半島の先端、竜飛(たっぴ)という地域についての部分。津軽海峡冬景色の「ごらんあれが竜飛岬北のはずれと〜見知らぬ人が指をさす〜♪」の竜飛。そのあたりの家は鶏小舎みたいと書かれていて、読んでいるときは、「鶏小舎?それは言い過ぎでしょ〜失礼〜」とか思っていたけど、行ってみたら本当に鶏小舎だった。(失礼)(笑)

津軽」の中では、国防上大事な場所だから、とそれ以上風景についての描写はない。

私が行ったのは確か3月の初め頃で、海に切れ落ちた断崖絶壁の上は草原のようになっていた。風が強すぎて木が育たず、雪も積もらないらしい。津軽海峡の向こうには雪をかぶった北海道の山々が見えて、ああ、ここが地の果てなんだなぁと感じた。こんなところを船で渡ろうとか、トンネルを掘ろうなんて思った人すげえな、とただただ思った。

竜飛岬はとにかく遠いし行きにくい場所だけど、わざわざ行ってよかったと心から思う場所。「津軽」を読んでから行って本当によかった。

今週のお題 #遠くへ行きたい に投稿しようと思って書いたけど、もう終わっちゃった?せっかく書いたのでアップしておく。

#おうち時間

#遠くへ行きたい